申請に慎重さを要する理由

 

シニアマネージャーの川口です。

 

前回の私のブログ「就労資格の基本要件」で、

就労資格の申請後、もし不許可となってしまうと、

外国人ご本人の人生そのものに多大な影響を及ぼし、

受入企業様の採用計画等が全て白紙となってしまうため、

手続きには非常に慎重さを要します、

というお話をさせていただきました。

 

本日は、私が慎重さを要すると考える、

もう一つの理由をお話します。

 

入国管理局は、過去すべての申請書類・記録を

永続的に保管しています。

 

例えば、更新の申請の審査期間中に担当審査官から、

「●年前に提出していただいた、●●の書類に書かれている、

●●の件がその後どうなったか、現状をご説明ください。」

という指示連絡が入ることがあります。

 

例えば、就労資格の初回の申請で、

「今後会社として、●●(外国)へ事業展開を行う予定のため、

そのための要員として、同国出身者を採用します。」

という内容で、就労資格の申請をしたとします。

 

審査後、無事に1年の許可が下りたと仮定し、

その後しばらく経って更新の申請を行う際、

「1年前の申請時の書類で言及されていた、

『●●(外国)へ事業展開』というお話が、

その後どこまで進んだか、ご説明ください。

また、その事実を証明する資料を提出してください。」

という指示連絡が入ることがあります。

 

既に法人・支店の設立や、出店が完了した状況であれば、

その旨を証明する資料

(例:日本で言う、登記簿謄本や営業許可証など)、

設立・出店の準備段階であれば、準備を進めていることを証明する資料

(例:現地の取引先に関する資料、オフィスや店舗の候補物件の資料など)、

の提出が求められます。

 

弊社の経験上でも実際にありますし、私の御客様からも、

「実は当社の従業員が最近、自身で更新の

申請をしたのですが、追加の書類提出が求められ、

『………(前述のような内容)を出してください』、

と言われました。対応がすごく大変でした…。」

というお話をいただいたことが、幾度もあります。

 

つまり、先々の申請の際に、以前提出した書類に関する

問い合わせが入る可能性があり、「その場しのぎ」の書類提出は、

後々大きな問題となりうる、ということになります。

 

前述の例で、もし

「1年前は、●●に海外展開する計画だったのですが、

具体的にはまだ動いておらず、その後の進展は一切ありません…。」

という状況となった場合、審査における大きなマイナス要素となり得ます。

 

もちろん、1年前と話が違うという理由ひとつで即不許可、

とまではならないとは思いますが、少なくとも以前の

申請書類への疑義は生じますし、以後の申請において、

審査はより厳格に行われる、とお考えいただいて結構です。

 

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「●年前に出した資料を、入国管理局は逐一確認しているのでしょうか?

今回とも今後の申請とも、別に関係ないと思いますが…」

とおっしゃる方がいますが、とんでもありません。

 

当然、入国管理局内でどのように審査が行われているかまでは

把握できないため、全ての申請において、過去の資料に

遡っているかどうかまでは、何とも言えません。

ただ、前述のような弊社の経験上、少なくとも

「提出書類は先々の申請にも影響を及ぼす」、

ということは間違いありません。

 

そのため、うかつに書類を作成して提出してしまうと、

先々の大きなマイナス要素になりうるとともに、内容如何では

過去の申請に虚偽申告があったとさえ、疑われてしまいます。

 

最初に申請する時点で、●●万円と記入して申請した給与額が、

実際には大幅に少ない●●万円だった、ということが後々発覚すると、

当然「なぜ?」という疑問を生じさせ、理由説明が求められます。

(どのくらいの差額であれば許容範囲か、という基準はありません)

 

冒頭でお話したように、入国管理局は、過去全ての

申請書類・記録を永続的に保管しています。

 

当然、未来予測は不可能なため、結果として

後々状況が変わる、ということは十分起こり得ます。

現行法上の就労資格の最長の許可期間は「5年間」であり、

5年後の未来や経営環境を予測できる人間は存在しません。

 

ただ後々、申請内容と事実が全く異なる、という

状況となりますと、前述のような事態が起こり得ます。

 

繰り返しですが、「その場しのぎ」の申請や、

「予定はあくまで予定(つまり未定)」といった

スタンスでの申請は、後々の大きな問題となりうる、

という点は、留意すべきだと思います。

 

申請に慎重さを要する理由をまとめますと、

(1)外国人ご本人の人生そのものに、多大な影響を及ぼす

(2)不許可の場合、受入企業(団体)様の採用計画が白紙となる

(3)先々の申請にも影響を及ぼす

という3点が、私が考える主要な理由です。

 

私共は御客様からご相談・ご依頼いただく際、

就労資格に関しては特に、この3点を重々留意の上、

慎重に進行しております。

 

外国人ご本人か、日本人のご関係者かに関わらず、

よほど申請のご経験が豊富におありでない限りは、弊社に限らず

専門家にぜひ一度、ご相談いただくことを推奨します。

 

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