ビザと人生設計
シニアマネージャーの川口です。
在留資格関連の仕事を続けていると、ありがたいことに
御客様から別の御客様をご紹介いただいたり、知人や友人から、
「私の友達で、ビザで困っている人がいるんだけど、
アドバイスしてもらえる?」といった
お声をかけていただくことが増えてきます。
口コミや、インターネット上で情報が氾濫する中、
外国人の方々が個々に懸命に情報を収集し、
「相当の予備知識」を備えた上で、
ご相談いただくことも多々あります。
私が直近で外国人の方から受けた、レベルが高く、
ご本人の「人生設計」にまで関わる内容、
と感じたご相談を紹介します。
「私自身でインターネットで調べたり、入国管理局にも
相談した結果、今の私にはいくつかの選択肢があると思います。
(1)今もっている『技術・人文知識・国際業務』のビザを更新する。
(2)『高度専門職』のビザに変更する。
(3)日本人の方との結婚を考えているので、『日本人の配偶者等』のビザに変更する。
(4)この3つの選択肢のどれかを申請した後、先々『永住』を申請する。
もし川口さんが私だったら、どうしますか?」
一般の方かつ外国人の方が、ご自身でそこまで
お調べになったことに、私はまず心から敬意を表し、
その上でこうお答えしました。
「●●さんの今後の人生設計によって、私の回答は変わります。」
まず(1)(2)(3)の選択肢がありますが、それぞれに当然、
メリット・デメリットがあるため、一つずつご説明し、
以下のようにお話を展開しました。
「もし今後数年間で、転職をする可能性がおあり場合は●●、
当面なさそうであれば●●がいいと思います。」
「(2)の場合、今お話ししたように、
こういうメリットがありますが、●●さんにとって、
そのメリットは魅力的と言えますか?」
「(3)の場合は特に、メリットとデメリットが明確に分かれます。
どちらかと言うと、●●さんにとっては
デメリットになるかもしれませんね。」
「永住をご希望の理由は、日本にずっと住み続けたい
ご意向の他、例えば『住宅ローン』を組んで、
家を購入するご予定がおありですか?」
つまり、こういった情報提供やヒアリングが必要となり、
少なくとも「即答で結論を提供できるご質問」
ではなかった、と言えます。
そのため、個々の申請の手続きや必要な書類のお話以前に、
「ご意向を踏まえた、申請の方向性を導くためのヒアリング」
が必要なご相談だったため、私から逆に
質問を多数お返ししました。
この時に限らず、こういった「複数の選択肢がある」ような
類似ケースでは、前述のようなお話を一つ一つさせていただくと、
ご質問の時点では、「私からの結論」をお求めだったはずが、
不思議とご自身で結論を見出し、
「結論が見えてきてすっきりしました。ありがとうございました。」
とおっしゃっていただき、ご相談を終えるケースがほとんどです。
私も大体、
「●●さんの場合、私も●●がいいと思います。」
と、同じ結論で終えます。
業務上、我々のような専門家が、個々の申請の
必要書類や書類作成についての情報を把握していることは、
あくま「最低限」と認識していますし、時として
ご相談者の「今後の人生設計」にまで関わるご質問もあります。
その場合、「目先や単発の対応」でとどめず、
様々かつ中長期的な観点からご相談に応じる必要があり、
我々が有さなければならない知識は、多岐にわたります。
また、必ずしも我々の見解や結論を申し伝えることが
全てではなく、御客様に「判断材料」や「選択肢」を提供し、
その中でどれがベストか、「ご自身による総合的なご判断」
へと導くことも、非常に重要だと考えています。
一個人のお力では、そこまでの情報収集をすることは至難です。
そのため、ビザ関連でお困りの方は、ご自分にとって
「最良の選択」をすべく、弊社に限らず専門家に
ご相談いただくことを推奨します。