オリンピックと国籍

行政書士の山口です。

 

先日、大きな盛り上がりを見せて閉幕したリオデジャネイロオリンピックですが、個人的には、その興奮が冷めてしまうのはもったいない、と感じてしまう今日この頃です。

 

そのオリンピック、男子マラソンで、オリンピック出場を目指し、某国の国籍を取得した選手が出場したことも話題になっていました。

 

ご存知のように、日本は、国籍取得の方法は「血統主義」を採用しています。これは、「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」その子供は、「日本国民」である、というものです。(その他の規定もあります。)

一方、アメリカやカナダなどは、「出生地主義」を採用しており、これは、「親の国籍に関わらず、自国で生まれた子は自国民とする」というものです。

そのため、両親は日本人だがアメリカで生まれたために、日本とアメリカの両方の国籍を持っている、という方も、比較的多くいらっしゃいます。

 

日本の国籍法は、二重国籍を認めていないので、このように、出生地主義を取っている国で生まれたことなどの理由で、「外国及び日本の国籍を有することとなった時が二十歳に達する以前である」方は「二十二歳に達するまでに」いずれかの国籍を選択しなければなりません。(国籍法第十四条)

この国籍の選択は、しないままにしておくと、法律上は、法務大臣が、催告を行い、場合によっては日本国籍を失うと規定されています。

しかし、例えば、法律で定めている「二十二歳に達するまで」に国籍の選択をしなくても、即座に日本国籍を失うわけではありません。

 

これと対照的に、国籍法第十一条には、「自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」と規定されています。

出生地主義を採用している国で生まれた方は、外国籍取得の理由は「自己の志望」ではありませんが、上述のオリンピック選手のように、自ら望んで外国籍を取得した方は、外国籍を取得した時点で、日本の国籍を失ったことになります。

 

気をつけなければならないのは、手続きをしなければ、その人の身分関係を登録し証明する「戸籍」がそのまま残ってしまう、ということです。

そのため、戸籍法に基づく「国籍喪失の届出」を、本人、配偶者又は四親等内の親族が、行わなければなりません。(戸籍法第百三条)

また、既に日本国籍を喪失しているため、パスポートの取得・行使はできません。

 

日本国籍を喪失した場合、日本に在留するためには、外国人として適切な「在留資格」を取得する必要があり、再度日本国籍の取得を希望する場合は、帰化申請を行うことになります。

 

このように見ていくと、夢のために、国籍を変更するということは、どんなに大きな決断だったでしょうか。

一方で、より恵まれた練習環境を得るための、国籍変更の誘いを断り、祖国の代表としてオリンピックに挑むことにこだわった選手のエピソードも胸に響きました。

もちろん、どちらがよい、悪い、という議論ではありません。

オリンピックというスポーツの祭典が、国籍という自分のアイデンティティーについて考える一つのきっかけとなりました。

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