新日本パスポートの欠陥

海外に行く人は気をつけてください。日本の新パスポートですと、入国審査の「自動化ゲート」を通過できない可能性があるようです。週刊現代の記事を引用しご説明いたします。

政府が新型コロナウイルス対策の入国制限を緩和し始め、夏休みの旅行計画を立て始めた人も多いことだと思います。

欧米では入国制限が早々に解除されPCR陰性証明書の提示も免除され、観光地はすっかり賑わいを取り戻しており、夏休みには久々に海外旅行を、と考えている人も増えてきているのが現状です。

しかし、そんな人には注意すべきことがあります。日本政府が発行している新しいパスポートに思わぬ「欠陥」があるようで、旅先の国での入国審査で、自動化ゲートを通過できないケースが多発しているそうです。

自動化ゲートの利用

空港などに設置されている自動化ゲートは、入国審査官による審査を代替するものとして近年、各国で急激に普及しており、入国審査が圧倒的に速くなり、利便性は極めて高いと評価が高く、認証の仕組みは国ごとに若干の違いがありますが、パスポートの顔写真のページを読み込み、カメラで実際の顔と照合することで認証する場合が多いそうです。　自動化ゲートの利用を自国民だけに限る国もありますが、日本人を対象としている国も増え始めました。たとえば英国では、2019年から日本のパスポート保持者は、英国や欧州連合（EU）加盟国の国民などと同様に、自動化ゲートを利用できるようになりました。　1～2時間待ちが当たり前だった悪名高いロンドン・ヒースロー空港の入国は、このおかげでわずか数分に短縮されたそうで、画期的なシステムです。

一方、日本の新しいパスポートは2020年2月4日以降の申請に対して発行されています。最新の偽造対策を施しただけでなく、江戸時代を代表する浮世絵師・葛飾北斎の「富嶽三十六景」を査証ページにあしらい、鳴り物入りで導入された経緯がありますが、この新しいパスポートと自動化ゲートの相性が極めて悪いようなのです。今回は新パスポートで最近旅行した方の経験談をご紹介しましょう。

今年４月、ベルギーから英国への旅行で、国際鉄道ユーロスターのブリュッセル南駅で出入国審査を受けた26歳の日本人女性Aさん。何度試しても自動化ゲートを通過できず、結局、有人審査の長蛇の列に回されることになったそうです。　長い待ち時間の末に対面した審査官はパスポートの表紙をみるやいなや、「日本の新しいパスポートかい？」と尋ねてきました。審査官によると、同様のケースが続発しているのだということです。　新しいパスポートは、顔写真のある人定事項のページに偽造対策でホログラムを多用しています。しかし、これが光を反射しすぎ、顔写真を読み込む際の障害になっているそうです。　Aさんも、古いパスポートでは何の問題もなかった自動化ゲートの通過が、新しいパスポートでは毎回引っかかるようになったといいます。このような事例は今のところ、さほど報告されていませんが、それはひとえに新しいパスポートで海外旅行をする日本人がコロナ禍で少なかったために他ならないと思います。

外務省の統計では、2020年のパスポート発行数は前年比7割減の約134万冊。2021年の発行数はさらに5割超落ち込み、約63万冊にとどまった。パスポートを新たに取得したり、更新したりする動きは低調で、実際に新しいパスポートで海外を訪れた人は限られていたそうです。ただし、今後、海外旅行の需要が復活し、同時に有効期限が切れていて新しいパスポートに更新する人が増えればどうなるでしょうか。自動化ゲートの恩恵を得られず、入国審査で長時間待たされる事態が頻発するだろうと懸念する声があがっています。

ただ、新しいパスポートでも自動化ゲートを通過しやすくするコツがあるそうで、　パスポートを読み込む機械に、できるかぎりの力を込めて顔写真の部分を真上から押し付けるのだそうです。先の審査官によると、それでも何度も読み込みに失敗するかもしれないそうで、何回もチャレンジすれば通過できる場合もあるそうですが、他力本願的な方法は賛成できません。大混雑の空港で何度もパスポートの読み込みをしていれば、後ろの旅行客に白い目で見られるのは間違いないなく、円滑な海外旅行を楽しむためには、日本政府が新パスポートの「欠陥」を修正する日を待つしかなさそうです。　今後他国でも自動化ゲートが普及された場合に、他国の新しいシステム利用できない、日本の新パスポートのガラパゴス化だけは避けていただきたいと思います