IMSブログ | 日本・アメリカビザ申請代行【行政書士法人IMS】

外国人の方が日本にやってきて中長期在留者として日本に滞在する場合、主な手続きとしては、入国前にビザ申請をするために必要な在留資格「認定」、入国後に滞在期間を延長するための「更新」、別の在留資格への「変更」という各種「申請」手続きがありますが、この他に「届出」という手続きも必要です。

「届出」は、「申請」と異なり出入国在留管理局からの「許可」を得るものではなく、ただ届け出るだけの手続きです。とは言え、これを怠ると思わぬ不利益が発生する場合もあります。罰金や在留資格の取消し対象となることもある他、出入国在留管理庁から出されている『在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン』では、許可を行うための代表的な考慮事項の1つとして「入管法に定める届出等の義務を履行していること」が掲げられています。今回は、この「届出」についてまとめておきたいと思います。

（１）住む場所を決めた時、引っ越した時

新たに中長期在留者となって住居地を定めた場合や住居地を変更した場合は、14日以内に届出が必要です。届出先は、出入国在留管理局ではなく住居地の市区町村の担当窓口となります。市区町村により住民基本台帳に登録された情報は、出入国在留管理局ともやり取りが行われるため、入管への届出は不要です。

14日以内に届出を行わないと20万円以下の罰金に処せられることがある他、正当な理由もなく90日以内に届出を行わなかった場合には在留資格の取消し対象となります。

（２）所属機関に変更があった時

転職や契約終了、入学・退学等で、活動場所の名称や所在地が変わった場合は、当該事情が生じた日から14日以内に届出が必要です。在留資格の種類により、届出書の書式が異なるものがありますので、在留資格に合った書式で行います。

なお、「離脱と移籍」、または「契約終了と新たな契約締結」がほぼ同じタイミングで行われる場合は、届出も同時に行うことができます。

◇所属機関の名称変更，所在地変更又は消滅　→　「所属機関に関する届出」（共通）
◇「離脱」と「移籍」→　「所属機関に関する届出」
　　該当資格：「教授」、「高度専門職１号ハ」、「高度専門職２号」（入管法別表第１の２の表の高度専門職の項の下欄２号ハに掲げる活動に従事する場合）、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「教育」、「企業内転勤」、「技能実習」、「留学」、「研修」
◇「契約終了」と「新たな契約締結」→　「契約機関に関する届出」
　該当資格：「高度専門職１号イ」、「高度専門職１号ロ」、「高度専門職２号」（入管法別表第１の２の表の高度専門職の下欄２号イ又はロに掲げる活動に従事する場合）、「研究」、「技術・人文知識・国際業務」、「介護」、「興行（本邦の公私の機関との契約に基づいて活動に従事する場合に限る）」、「技能」、「特定技能」

なお、活動内容によって決められている在留資格は、正当な理由がある場合を除き、継続して3ヵ月以上（高度専門職２号の場合は6ヵ月以上）活動を行わないで在留していると取消しの対象となります。

（３）配偶者と離婚又は死別したとき

「家族滞在」、「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格をもって在留している方であって、配偶者としての身分を有する方は、その配偶者と離婚又は死別した場合は、14日以内に届出が必要です。

◇配偶者との離婚又は死別→　「配偶者に関する届出」
なお、「家族滞在」は3ヵ月間、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」は6ヵ月間、配偶者としての活動を行っていないと在留資格が取り消される場合があります。

（４）所属機関による届出

また、中長期在留者本人による届出とは別に、受け入れ機関が行う届出もあります。

◇「中長期在留者の受入れに関する届出」
中長期在留者の受入れを開始又は終了した日から１４日以内

◇「中長期在留者の受入れ状況に関する届出」（留学生受入れ機関のみ）
毎年５月１日及び１１月１日から１４日以内

所属機関による届出には罰則規定はありませんが、正しく届出が行われていない場合、所属している外国人の方々の在留期間更新等の許可申請時の審査を慎重に行うことがあるとされております。円滑な申請業務運営のためには、所属機関による届出も大切です。

なお、入管への届出（２）（３）（４）は、入管窓口へ持参する方法の他、郵送またはインターネットを使ったオンラインでの届出も可能となっています。

どんな場合に「届出」が必要になるのかを理解し、遅滞なく行っていただくために、以上の情報がお役に立てば幸いです。

参考：出入国在留管理庁HP＞手続の種類から探す「４ 届出」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/index.html