IMSブログ | 日本・アメリカビザ申請代行【行政書士法人IMS】

弊社では様々なご事情があるお客様から日々ご相談を頂きますが、時々このようなご相談があります。

「帰宅中に放置自転車をみつけ、軽い気持ちでその自転車を使ってしまい、パトロール中の警察官に職務質問され、結果的に微罪処分となったが私もESTA渡米は出来ないのか？」という内容です。微罪処分とは何なのか？また、微罪処分などの前歴がアメリカ渡航に与える影響について解説いたします。

【微罪処分とは？】

法律違反に当てはまるものの、軽微であり社会的に大きな影響がない場合に、検察や警察が正式な処罰や起訴をせずに終了とする処分です。軽微な違反や初犯、反省が見られる場合などに適用され、裁判に至らないため公に罰則が科されません。しかし、被疑者として捜査対象となった記録は残るので前歴はつきます。

それではどのようなケースで微罪処分となるのか、一例を挙げてみましょう。

• 少額の万引き

初犯で少額の物を万引きした場合や被害者が被害届を出さず示談に応じた場合

• 公共の場での迷惑行為

公共の場で飲酒をして騒いだり、ゴミのポイ捨てや騒音など、他人に軽度の迷惑をかけた場合で特に反省の意思があり、行為の反復がない場合

• 自転車などの無許可使用(占有離脱物横領)

自転車などの他人の所有物を所有者の許可なく使用する行為などで、これも初犯の場合で悪質性が低いと判断された場合

※ 近年で厳罰化した痴漢や盗撮、強制わいせつ等の性犯罪は微罪処分の対象外です。

【微罪処分の条件】

微罪処分が適用されるには、初犯であり反省の意思があること、被害者が許していること（示談や弁償が成立している場合）、再発防止が見込まれることなどが重要な要素となります。

【アメリカにはESTA渡航しても問題ないのか】

それではアメリカへ旅行や出張予定がある場合に多くの方はESTA申請が思い浮かぶと思いますが、微罪処分歴がある場合はESTA渡航が叶うのでしょうか。

ESTAの適格性の質問には非常にわかりにくい質問が一つあります。「あなたはこれまでに、他者または政府当局に対して、所有物に甚大な損害を与えるか重大な危害を加えた結果、逮捕または有罪判決を受けたことがありますか？」という問いです。この質問に対する解釈や答え方に関するご相談を多く頂きますが、ESTAを申請する個人の判断となるため弊社から個別にアドバイスを差し上げることはいたしておりません。

しかし、懸念事項を抱えた方がESTA渡航をした場合、入国審査時にトラブルに遭う可能性があります。アメリカの入国審査官は、指紋情報以外の手段でも入国希望者に関する情報を確認できる場合があります。具体的には、以下の手段が考えられます。

日米の情報共有協定

日本とアメリカは、犯罪やテロ対策のために情報を共有する協定（PCSC協定など）を結んでいます。これにより、犯罪歴や逮捕歴についての情報が両国の間で共有されており、協定に基づく情報は、指紋だけでなく、名前や生年月日などで照合されることがあります。

国際的なデータベース

インターポール（国際刑事警察機構）のデータベースやその他の国際的な情報共有システムを通じて、犯罪歴が記録されている場合、アメリカの入国管理局がアクセスできることがあります。

過去のビザ申請や入国情報　

過去にアメリカのビザ申請や入国の際に犯罪歴を申告した場合、その記録が保持されている可能性があります。入国審査官はこうした履歴を確認し、犯罪歴を探ることができます。

事前の入国情報の分析

アメリカは入国者の背景を審査するため、渡航前に提出されるESTA情報やビザ申請情報を詳細に確認しています。犯罪歴が申告されている場合や、疑わしい点がある場合は追加審査の対象になることがあります。

【入国審査で肝を冷やすケースも】

入国審査時に追加審査が必要となり別室送りとなると、その拘束時間は驚くほど長くなるケースが多く、結果的に入国拒否となった場合はその時点で最も早く出発する予定の空席があるフライトにて強制的に帰国させられます。また、別室にて聴取を受けた後、入国が許可された場合もその聴取の履歴は残るため、次回以降も再び別室に呼ばれる可能性が高くなります。

実際の例ですが、10年以上前に前歴がある方がESTA渡航を何回かしていた後、最近になって突然入国審査時に「過去に何らかの逮捕歴などありませんでしたか」と声をかけられ、次回からはビザ取得をするように、と注意されたケースがありました。

したがって前歴・前科がある場合は目的に応じたビザの申請・取得を推奨します。アメリカは虚偽や隠蔽に対し非常に厳しい態度をとります。事象の内容や発生時期、処分によりますが、きちんと過去の懸念事項について申告し、慎重に申請をした場合は多くのケースでビザ取得ができています。

アメリカ旅行や重要な出張に行けないかもしれないとご不安な方は一度ご相談ください。

本ブログは現時点での情報であり、最新情報についてはお客様の責任において、政府公式サイト等でご確認ください。

(MM)