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2024.09.10日本ビザ
大学で外国人研究員を受け入れる場合
「大学の研究室で外国人研究員を受け入れることになりました。どのような手続きが必要ですか?」というご相談は、弊社でもしばしば頂いております。とても基本的な質問のようですが、実は案外ややこしい場合があります。今回は、この質問に答えるためのポイントを確認しておきたいと思います。
先ずは、報酬の有無を確認する必要があります。大学で報酬を受けて、「研究、研究の指導又は教育をする活動」を行う場合は、就労資格である「教授」の在留資格が必要です。報酬がある場合は、滞在期間や国籍を問わず、「教授」の在留資格認定証明書(COE)交付申請を行い、COEを取得したら、現地の在外公館で査証(ビザ)申請を行い、COEと査証を持って来日して頂くことが必要です。
一方、報酬がない場合は、「収入を伴わない学術上の活動」と考えられますが、その場合は、滞在期間によって必要な在留資格が異なります。滞在期間が90日を超える場合は「文化活動」の在留資格が必要となり、「文化活動」の在留資格認定証明書(COE)交付申請を行う必要があります。その後の流れは、「教授」と同様です。
「収入を伴わない学術上の活動」でも、滞在期間が90日以内の場合は、「短期滞在」での来日が可能です。この場合は、在留資格認定証明書(COE)交付申請は必要なく、現地の在外公館で短期滞在ビザを取得して来日するか、査証免除国の方であれば、「ビザなし」で来日することも可能です。
ここまで、サラッと説明しましたが、「報酬の有無」は分かり難い場合があります。この点について、ちょっと詳しく解説してみたいと思います。
簡単に分かる例としては、契約形態が「雇用」の場合です。雇用の場合は、所属機関から給与を支給することになりますので、明らかに「報酬あり」で、「教授」の在留資格が必要です。
では、雇用関係やその他の契約もなく、「謝金」という名目で支払う場合はどうでしょうか。名目は関係なく、業として行う活動に対して金銭を支払う場合は報酬とみなされます。例えば、本国でも大学で講義や研究の指導を行っている方が、日本で同様の活動を行う場合、それに対する「謝金」は報酬と考えられますので、やはり、「教授」の在留資格が必要です。
なお、就労資格がなくても受け取ることが認められている例外的な報酬として「臨時の報酬等」というものがあります。入管法19条1項では「業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるもの」は、入管法の規定における報酬から除外しています。(「臨時の報酬等」の詳細は、入管法施行規則19条の3参照)
何らかの対価としてもらうお金がすべて報酬という訳ではないのですね。
では、給与はもらわないけれども、日本での活動に対して奨学金、研究費、滞在費などが支給される場合は、どのように考えたらよいのでしょうか。この場合は、基本的には「収入を伴わない学術上の活動」と考えられますが、支給される金額によっては、事実上の就労活動であると考えられ、「文化活動」や「短期滞在」ではなく、就労資格である「教授」の在留資格が必要となります。
ここで知りたくなるのは、支給される金額がいくら以上なら「教授」に該当するのか、ですが、実は明確な金額の基準はありません。
「収入を伴わない」活動とは、その活動を行ったことによる結果として何らかの財産上の利益を得ることがない活動と解されます。逆に言うと、支給される金額が必要経費を超えており、結果として一部が手元に残るような場合は、収入を伴う活動と考えられます。そのため、「文化活動」のCOE申請を行う場合、「収入を伴わない」活動であること、つまり、日本での活動に対して支給される金額は、滞在中に使い切れる金額であることの説明が必要な場合があります。この説明が必要になるのは、月額20万円以上の支給を受ける場合とされています。
「報酬かもしれない(報酬性がある)」と考えられる金額として、一応月額20万円以上という目安はありますが、必ずしも「月額20万円以上=報酬」という訳ではありません。来日する方の地位や活動内容によって必要経費は様々ですので、滞在中に使い切れる金額であることが説明できるのであれば、月額20万円を大きく超える経費支弁を受ける場合でも「収入を伴わない」活動として、「文化活動」や「短期滞在」で来日することは可能です。
日本滞在中に本国で支給される給与があっても、日本での活動にかかわらず支給されるものであれば、日本での活動は「収入を伴わない」活動として、「文化活動」や「短期滞在」で来日することが可能です。
一方、在留資格「教授」の申請では、日本滞在中に本国で支給される給与を「給与・報酬」として申請書に記入することが可能です。しかしながら、必ずしも記入しなければならない訳ではなく、日本での「教授」の活動に対して支払われる報酬が他にもあり、それで日本で安定した生活を営むことができるのであれば、敢えて加算して申請する必要はないでしょう。つまり、収入と考えることもできるという位置づけでしょうか。
適切な在留資格を判断するには報酬の有無がポイントでありながら、報酬を巡る問題にはスパッと割り切れないところがあるのが現実です。まだまだ語り尽くせない部分もありますが、少しでも理解を深めて頂けましたら幸いです。
(S.I)
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