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在留資格「高度専門職1号イ」と「教授」の比較

留学生が卒業後に日本で働く場合、在留資格の変更が必要になります。企業に就職する場合は「技術・人文知識・国際業務」などの資格に変更しますが、中には大学院の博士課程で学んだ後、引き続き大学で職を得て学術研究の道に進むことを考えている方もいるかも知れません。

大学で研究や指導・教育活動を行う場合の就労資格としては「教授」がありますが、もう一つ、「教授」と同じ活動内容の仕事ができる就労資格として「高度専門職1号イ」があります。国としても、高度外国人材の受け入れにますます力を入れている昨今、高度専門職の資格取得を目指す方も増えていると思いますので、今回はこの2つについて、比較してみたいと思います。

 

活動の幅は「高度専門職1号イ」の方が広い

どちらの資格でも、研究、研究の指導もしくは教育をする活動を行うことが認められていますが、「高度専門職1号イ」ではこれらの活動と併せて、「当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動」も認められています。

「教授」の活動が、もっぱら大学などの教育機関内に限定されているのに対し、「高度専門職1号イ」では、自らの研究・教育活動と関連した事業経営や、一般企業の社内研修での指導なども認められているということです。この点では、「高度専門職1号イ」の方が「教授」よりも自由度が高いと言えます。

 

高度専門職には多くの優遇措置がある

「高度専門職」では、新たなイノベーションを生み出す優秀な人材を海外からも積極的に受け入れていくために、「高度外国人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇措置」が設けられています。ポイント制とは、学歴、職歴、年収、年齢の各項目、特別加算項目(研究実績や資格、地位、その他)についてポイント(点数)が決められており、その合計が一定の点数に達した場合に優遇措置が与えられるというものです。優遇措置はいくつかありますが、特に日本で永住権を取りたいと思っている方にとっては、永住許可申請に必要な在留期間が短縮されることは大きなメリットと言えるでしょう。

一般に永住許可申請ができるのは、日本に10年以上住んでいることが条件となっていますが、ポイント制により、その期間が大幅に短縮されます。70点以上なら3年、80点以上では1年の在留期間で永住許可申請が可能となります。そして、永住者の資格を得れば、在留期間だけでなく在留活動にも制限がなくなりますので、更に活躍の場が広がることになります。
※高度専門職と優遇措置についての説明は、弊社の以下のサイトも併せてご覧ください。
https://attorney-office.com/japanvisa/ac-highlyskill

 

高度専門職1号では所属する機関が指定される

他の就労資格と比べて高度専門職は魅力のある資格ですが、高度専門職1号では所属する機関が指定されており、所属機関が変わる場合は、たとえ資格に変更がなくても在留資格「変更」許可申請の手続きが必要となることは認識しておきましょう。


「高度専門職1号イ・ロ・ハ」共に、主たる活動を行う場所として「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」という条件が含まれています。在留資格変更許可申請書には稼働先(Place of work)として就労場所となる機関を記入しますが、「高度専門職1号イ・ロ・ハ」の資格が認められると、この機関が「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」となります。指定された機関は在留カードには記載されませんが、「指定書」に記載され、パスポートにホッチキス留めされて申請人に交付されます。

<「指定書」イメージ>

出典:e-Gov法令検索より「入管法施行規則別記第31号の3様式」

 

「教授」や「技術・人文知識・国際業務」の場合は、職場が変わっても活動内容が変わらなければ「届出」の手続きだけで済みますが、「高度専門職1号」の場合は、職場が変わる時には事前に在留資格変更許可申請を行い、変更後14日以内の「届出」を行うことも必要です。高度専門職の方が優遇措置もあり自由度も高いイメージがありますが、転職を行う時にはひと手間掛かります。この点は忘れがちですので、注意してください。

なお、余談になりますが、高度専門職以外でも、パスポートに「指定書」が付けられている方は同様です。「指定書」に記載されている機関を辞めて他の職場で働く場合、在留資格の変更手続きが必要となります。転職する際は、事後の届出だけでなく、事前に在留資格変更手続きを行うことを忘れないようにしましょう。

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