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2023.07.06日本ビザ
「在留資格の取消し」とは
先日、こちらのブログで、「届出」を怠るだけでも在留資格の取消し対象となることがあるとお伝えしました。「在留資格の取消し」という処分があることが分かると、「取消し対象となる場合は、いきなり取消されてしまうのか?」「在留資格が取消されたら強制送還されてしまうのか?」など、新たな疑問も出てきます。そこで今回は、「在留資格の取消し」について、もう少し理解を深めておきたいと思います。
入管法には以下のような条文があります。
(在留資格の取消し)
第22条の4 法務大臣は、別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもつて本邦に在留する外国人(第61条の2第1項の難民の認定を受けている者を除く。)について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、法務省令で定める手続により、当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる。
<第1項1号から10号省略>
2 法務大臣は、前項の規定による在留資格の取消しをしようとするときは、その指定する入国審査官に、当該外国人の意見を聴取させなければならない。
取消し事由に該当することがあった場合に自動的に取消しになる訳ではなく、入国審査官による「意見聴取」を行った上で、法務大臣が、“法務省令で定める手続により”取り消すことができる、というものなのですね。意見聴取の手続き詳細は、法務省令(入管法施行規則)に定められています。
なお、取消し事由は10個ありますが、悪質性が高い場合、在留資格が取消されると「退去強制」(いわゆる強制送還)の対象となりますが、そうでない場合は「出国命令」の対象となります。出国命令を受けた場合は、30日以内の出国猶予期間が与えられ、その間に自分で出国する必要があります。
退去強制の対象となるのは、偽り、不正の手段により入国した場合(1号、2号)と在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ他の活動を行い又は行おうとして在留している場合(5号)です。但し、5号の事由があっても逃亡の恐れがない場合は、出国命令の対象となります。
過去に実際に行われた在留資格取消し件数を見ると、2019年度が995件、2020年度が1210件、2021年度が800件となっています。事由別で最も多いのが、在留資格に応じた活動を3ヵ月(高度専門職の場合は6ヵ月)以上行わないで在留しているという6号、その次が上で述べた5号。この2つで、2020年度、2021年度は9割以上、2019年でも8割以上を占めています。
一方、届出を怠ったことによる在留資格の取消しは、2019年に1件ありましたが、2020年度、2021年度では1件もありませんでした。
また、悪質性が高く退去強制を免れない1号、2号の事由によるものは合算で、2019年度が134件、2020年度が80件、2021年度が39件となっています。こちらの件数が2020年以降減っているのは、コロナの影響で入国者数が減っているためと思われますので、今後は再び増えることも考えられます。
「在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ他の活動を行い又は行おうとして在留している(5号)」、「在留資格に応じた活動を3ヵ月(高度専門職の場合は6ヵ月)以上行わないで在留している(6号)」は、どちらも違法と知りながら行っていた場合は当然の結果とも言えますが、知らずにやってしまい「退去強制」や「出国命令」を受けることになったら悲劇です。「知らなった」では済まされないのが、怖いところです。なお、失業して職探しを行っている場合は、在留資格に応じた活動を一定期間以上行わないで在留していることについての正当な理由となる場合があるとされております。そのような場合は、正当な理由として認めてもらえるよう、その事実を証明できるようにしておくことが欠かせません。
日本に在留する外国人の皆さまが、入管法を正しく理解して、不本意に在留資格の取消し対象となることがないようお祈りします。
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