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不法在留(オーバーステイ)するとどうなるのか

先日、こちらのブログで、在留資格が取消されると「退去強制」(いわゆる強制送還)または「出国命令」の対象となることをお伝えしました。「退去強制」は、行政処分として法律に基づいて行われる一連の処分ですが、収容(身柄の拘束)や国外への追放のように身体の自由を制限する処分が含まれており、行政法上の直接強制としては最も厳しい処分の一つとされています。そして、「退去強制」となる理由で最も多いのは「不法在留」(許可された在留期間を超えて滞在している場合、いわゆるオーバーステイ)です。今回は、この「不法在留」について、見ていきたいと思います。

 

不法在留でも強制送還ではなく出国命令による出国者数が多い

出入国在留在理庁の資料によると、2021年に送還された外国人の総数は4,122人で、その内の約8割を占める3,254人が不法残留を理由とするものでした。続いて、在留資格取消し(275人)、刑罰法違反(240人)、不法入国(156人)、その他(197人)となっています。

なお、不法残留の場合、一定の要件を満たせば身柄を収容しないまま簡易な手続きによって出国させる「出国命令制度」があり、この方法によって2021年に出国した人の数は送還の人数を上回る4,410人でした。

 

「出国命令制度」が利用できる条件とメリット

では、一定の要件とはどのようなものなのでしょうか。不法在留していても「出国命令制度」を利用して出国することができるのは、次の5つの要件を満たす場合です。

1 速やかに日本から出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭したこと

2 在留期間を経過したこと以外の退去強制事由に該当しないこと

3 入国後に窃盗等の一定の罪により懲役又は禁錮に処せられていないこと

4 過去に退去強制されたこと又は出国命令制度により出国したことがないこと

5 速やかに日本から出国することが確実に見込まれること

1から5までのすべての要件を満たす必要がありますが、先ずは摘発される前に、自ら出入国在留管理局や支局に出向いて、出国の意思を伝えることが大事です。また、空港の入管に出頭しても、違反調査等にある程度の日数が掛かるため、原則、当日出国はできません。

なお、退去強制により出国した場合、最低5年間は日本に入国することはできませんが、「出国命令制度」で出国した場合、その期間は1年間になります。

出入国在留管理庁HP:不法残留している外国人の方への帰国手続(出国命令制度)の御案内
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/syukkokumeirei.html

 

出頭による申告が求められている

外国人の入国記録及び出国記録に加えて、退去強制手続に関する情報などを加味して算出している不法残留者の数は、2023年1月1日現在、70,491人とされています。ピークだった1993年(約29万9千人)と比較するとこの30年でかなり減少しています。経済環境の変化もあると思いますが、政府の施策による効果もあると言えるでしょう。自発的な出頭申告を促すための「出国命令制度」の広報活動や、「在留特別許可に係るガイドライン」の改訂を通じて、出頭申告しやすい環境の整備が行われてきました。

「出国命令制度」の条件を満たさない場合でも、出頭申告すれば仮放免の許可により、収容されることなく出国の手続を進めることが可能です。

また、退去強制事由に該当したすべての外国人が国外に退去させられる訳ではなく、日本での生活歴や家族状況等が考慮され、法務大臣から在留を特別に許可される場合がありますが、この時にも、自ら出頭して申告したことは積極的要素として勘案されます。

出入国在留管理庁HP:出頭申告のご案内~不法滞在で悩んでいる外国人の方へ~
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyukan_nyukan87.html

不法在留は、不法ではありますが、人を取り巻く環境や事情は様々で、かつ変化が生じるものです。そのため、一律の基準ではなく「ガイドライン」という形で「在留特別許可」が与えられる道も開かれているということは覚えておきたいですね。また、収容や送還よりも、出国命令の方が、外国人本人にとっても、政府の財政面でもメリットがある気がします。

(S.I)

参考:出入国在留管理(2022)(出入国在留管理庁)、出入国在留管理庁HP

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