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在留資格「教授」か?「文化活動」か?

弊社では、日々、学術系の在留資格に関するご相談を多くいただいております。日本で学ぶために学生としてやって来る方の在留資格は「留学」ですが、それ以外に大学で研究活動を行うための在留資格としては「教授」と「文化活動」があります。外国人の研究者を受け入れるに当たり、在留資格認定証明書は「教授」で申請すべきか、「文化活動」にするべきかというご質問を頂き、説明させて頂く機会も多いので、今回はこの悩みを少しでも解消できるように、まとめてみました。

 

「教授」は就労資格、「文化活動」は非就労資格

在留資格は現在29種類ありますが、日本で行うことができる活動で定義されている活動資格と、日本での身分・地位によって定義されている身分資格に大別されており、「教授」も「文化活動」も活動資格に入ります。活動資格は更に「就労資格」か「非就労資格」かに分かれます。そして、「教授」は「就労資格」なので働いて報酬を得ることができるのに対し、「文化活動」は「非就労資格」なので報酬を得ることができない、というのが大きな違いです。

なお、日本で行うことができる活動はそれぞれ以下のように定められています。

教授:本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究、研究の指導又は教育をする活動

文化活動:収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(四の表の留学の項から研修の項までの下欄に掲げる活動を除く。)

 

“収入を伴わない”活動とは

大学と雇用契約があり、給与が支払われる場合は、迷うことなく在留資格は「教授」を選択することになりますし、完全に私費で滞在して、研究員として研究室等で活動する場合は「文化活動」になりますが、悩ましいのは、大学との雇用関係はないものの、私費ではなくどこかから研究費、奨励金等が支払われるというケースです。

これについて、入管の審査要領では、「収入を伴わない」とは、「たとえ金銭を受領する場合でもそれを自己のものとすることがない」場合も含まれると解されるので、金銭を受領する場合でも研究目的のためにその全額が支出されるのであれば、受領した金銭は自己のものとはならないので「収入を伴う」ことにはならないと解する(つまり「文化活動」に該当する)としています。

一方、たとえ研究費、滞在費等の名目であって、仮に報酬ではないとしても、受領した金銭の一部が実費として使用されることなく自己のものとなるのであれば、その活動は「収入を伴う」ものと解されるので、「文化活動」ではなく「教授」その他の就労可能な在留資格に該当する活動として判断する、としています。

 

研究費、滞在費等が支給されて来日する方

では、受領した金銭が研究目的のために全額が支出されるかどうかは、どのように判断されるのでしょうか。これは明確な金額で決められている訳ではありませんが、概ね月額20万円以上の金銭を受領する場合は、その名目にかかわらず報酬性があると判断されるようです。そのため、月額20万円以上の金額が支給されるケースで「文化活動」の申請を行う時は、その全額が実費として支出されることを説明するために使途内訳表を作成し、申請書の添付資料として提出することをお勧めしております。もしくは、月額20万円以上の金額が支給される場合は、「教授」での申請を検討することをお勧めいたします。

また、話がややこしくなるのですが、「教授」の在留資格では必ずしも月額20万円以上の給与・報酬があることが求められている訳ではありません。例えば、大学との雇用関係はなく月額17万円の奨励金を受給する場合でも「教授」の在留資格は認められていますし、それより少ない金額であっても、「教授」での申請は可能です。

 

収入が少なくても「教授」の在留資格は認められるのか?

在留資格「教授」の収入についても、必要な金額が明確に定められている訳ではありません。入管の審査要領では、「当該活動によって本邦において安定した生活をおくることのできる十分な収入を得られることが必要である」とされています。そして、「教授」に該当する活動のみでは日本で生活するために必要な収入が得られない場合は、他の活動の有無を聴取するなどして確認し、資格外活動許可により得られる報酬等を含めて判断して差し支えないとも書かれています。但し、「教授」の活動により得られる収入よりも、他の活動で得られる報酬の方が多い場合は、当該他の活動に係る在留資格を決定することになる、とのことですので、こうなるともう「教授」ではありませんね。

 

先ずは滞在費支弁方法と金額を確認

「教授」か「文化活動」かの違いは、本来は「就労」と「非就労」の違いなのですが、雇用関係がなく、研究費、奨励金、奨学金、滞在費などの支給がある場合は、どちらも選択可能なゾーンがあり、支給される金額が多い場合は「教授」に該当することもあります。雇用ではないからと言って「文化活動」での申請手続きを進める前に、先ずは、滞在費支弁方法とその金額を確認することから始めるのが良いでしょう。

(S.I)

参考:
出入国管理及び難民認定法 | e-Gov法令検索
『入国・在留審査要領』出入国在留管理庁

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