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在留管理制度と在留資格取消

みなさま、こんにちは。
行政書士法人IMSです。

本日は「在留管理制度と在留資格取消」と題して、在留資格がどのように管理され、またどのような場合に取り消されるリスクがあるのかについて、考えてみたいと思います。

まず、外国人が日本で勉強したり仕事をしたりする為には、在留資格(許可)が必要です。
在留資格とは、簡単にいえば「定められた活動を行うことで日本に在留(滞在)できる」または「定められた身分・地位を有することで日本に在留(滞在)できる」法的な資格のことです。
日本に入国しようとする外国人に対し、法務省の出入国在留管理庁により上陸審査・許可の際に付与されるものであり、この入管法上の在留資格をもって日本に中長期間在留する外国人を対象として、在留管理に必要な情報を継続的に把握するために施行されているのが「在留管理制度」です。

そしてこの「在留管理制度」のもと、現在有する在留資格における適切な活動・届出等を怠った場合には、法務大臣は在留資格を取り消すことができるとされています。
ではその「在留資格取消」に該当するのはどのような場合なのでしょうか?
また実際にどのような段階を経て在留資格の取消しが行われるのでしょうか?

まず、法務大臣が在留資格を取り消すことができる場合は、大きく分けて次の4種類があります。

(1) 上陸の申請や在留期間の更新の際に、偽変造された文書や資料を提出したり、申請書に偽りの記載をしたり、偽りの申立てをすること等によって、許可を受けた場合

(2) 入管法別表第一の上欄の在留資格(活動資格)をもって在留する者が、正当な理由なく、本来行うべき活動を行わず、かつ他の活動を行う又は行おうとして在留している場合

(3)本来の在留資格に基づく活動を継続して一定期間行っていない場合

① 入管法別表第1の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」、「留学」、「家族滞在」等)をもって在留している外国人が、その在留資格に基づく本来の活動を継続して3か月(「高度専門職2号」は6か月)以上行っていない場合

② 「日本人の配偶者等」(日本人の子及び特別養子を除く。)又は「永住者の配偶者等」(永住者の子として本邦で出生した子を除く。)の在留資格をもって在留している外国人が、その配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合
※ただし、活動を行わないことについて正当な理由がある場合は、在留資格取消しの対象とはなりません。

(4)中長期在留者が住居地の届出を行わない場合又は虚偽の届出をした場合

① 上陸の許可や在留資格の変更許可等により新たに中長期在留者となった者が、90日以内に法務大臣に対し住居地の届出をしない場合

② 中長期在留者が、法務大臣に届け出た住居地から退去した日から90日以内に、法務大臣に対し住居地の届出をしない場合

③ 中長期在留者が、法務大臣に虚偽の住居地を届け出た場合
※ただし、①および②に関して正当な理由がある場合は、在留資格取消しの対象とはなりません。

次に、在留資格の取消しについて具体的な流れをみていきましょう。

(1)在留資格の取消しをしようとする場合には、あらかじめ在留資格の取消しの対象となる外国人の方から、入国審査官が意見を聴取することになっており、当該外国人は、意見の聴取に当たって、意見を述べ、証拠を提出し、又は資料の閲覧を求めることができます。
また、意見の聴取に当たって代理人(未成年の親権者、後見人等の法定代理人のほか、在留資格取消対象者が代理人として委任した弁護士など)を選び、本人に代わって意見の聴取に参加することができるように求めることもできます。

→在留資格取消対象者やその代理人が、正当な理由がないにもかかわらず、指定された期日に出頭しなかった場合には、意見の聴取を行わないで在留資格が取り消されることがあります。そのため、病気等のやむを得ない事情により、指定された期日に出頭できない場合には、あらかじめ地方出入国在留管理局に連絡してください。

(2)在留資格の取消処分が決定した場合には、在留資格の取消しは、在留資格取消通知書の送達によって行われることとなります。在留資格取消通知書の送達は、在留資格取消対象者の住居地に対する送付や当該外国人本人に直接交付する方法等によって行われます。

(3)在留資格を取り消された後の取扱いは2種類あります。

①不正手段等の行使について悪質性が高い場合(上陸拒否事由に該当していることを偽った場合や、申請人が日本での活動内容や経歴を偽った場合)や、本来の在留資格に基づく活動を行っておらず、かつ、他の活動を行う又は行おうとしている場合で、逃亡すると疑うに足りる相当の理由がある場合

→在留資格が取り消された後、直ちに退去強制の手続が執られます。

②不正手段等の行使について悪質性が高くない場合(申請人以外の者が事実と異なる文書等を提出した場合)や本来の在留資格に基づく活動を継続して一定期間行っていない場合や、中長期在留者が住居地の届出を行わない場合又は虚偽の届出をした場合

→在留資格を取り消される際に、30日を超えない範囲内で出国するために必要な準備期間(出国猶予期間)が指定され、同期間内に自主的に出国することになります。

なお、在留資格が取り消されて出国猶予期間が与えられた場合、指定された期間内に出国することは退去強制処分を受けたことにはならず、在留期間内に出国する場合と同様に取り扱われます。

このように「在留資格」には、その資格を有している間に守らなければならない制度があり、それを守らなかった場合に在留資格を取り消されるリスクがあります。

日本における在留(滞在)を有意義なものとするためにも、これらの「約束事」をきちんと守りながら、本来行うべき活動を継続して行うことが大切です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。(RS)

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