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【Youtubeアップしました】ベトナム人技能実習生の「ストライキ」から、雇用者が学ぶこと。

日本では、労働者不足が問題になっています。

私は企業が労働者不足と騒がれているのは、企業で最低賃金、低賃金で働いてくれる労働者が不足していることで、
最低賃金ではなく、平均的な賃金を支払えば、日本はまだまだ労働者不足ではないと思います。

今回の事件は北海道ですので、最低賃金は889円となり、そんな低賃金で働き、日本に来る前に多額な借金を背負わされている彼らに、高額な光熱費を請求したことが問題の発端となりました。

それでは事件の概要を見て行きましょう。
生キャラメルで有名な北海道の花畑牧場で働いていたベトナム人労働者数十人がストライキ敢行後に3月での雇い止めを通知されたケースが話題となっていますが、報道によりますと、労働者らは当初一ヶ月あたり7000円だった光熱費が、今年1月急に約15000円にまで引き上げられたことに抗議して事実上のストライキに突入しました。
その後、会社は40人に対して「契約期間満了通知書」を発行し雇い止めを通知したそうです。

さらに、ストライキの中心メンバーの4人に対して、「違法な就労拒否と職場放棄」として一人あたり50万円の損害賠償を請求しているそうです。
一般的には、ストライキとは労働者が働くことを拒否する行為だと考えられていますが、ただ「働かない」だけではストライキとはいえないと思います。

ストライキの本質は、労働条件の向上を目指すために行われるものだという点で、労働条件の交渉で、もっと働きやすい環境を求めるために働かないという行為がストライキにあたると考えます。
そして、ストライキは労働者が団結して集団的に勤務しないという手段をとることによって、経営者の目的でもある事業を営むこと、業務の正常な運営を阻害するという効果を持ちます。
今回の花畑牧場のように製造に関わっているのは経営者ではなく現場で働くベトナム人労働者らであるため、
今回の約40人による「ストライキ」によって、会社は「工場の生産ラインを稼働できなくなり、大きな損害を被ることになり、目的や手段、効果から考えれば、今回のベトナム人労働者の行動はストライキであると評価できると思います。

ストライキとは、労働者が会社と交渉するための「武器」ですので、憲法でも28条で勤労者の権利として保障されています。
もしストライキが法律によって保障されていなければ、会社内には不満がたまり「一方的に辞める」「一斉退職する」という方法ばかりが採られることになりますが、
今回の場合は技能実習生であり、彼らの日本に在留する資格では転職の自由は認められず、退職=帰国となります。

再三お伝えしていますが、技能実習生の多くは国を出るときに100万円程の手数料を送り出し機関に渡し、
借金をして来日していますので、その借金を返済するためには、辞めるという選択肢はなく、今回のような団体交渉、ストライキを起こしたと考えます。

ただし、日本のストライキは基本的に、労働組合によって行われることが想定されており、労働組合によるストライキがその目的や手段が正当であれば合法であることに疑いの余地はありませんが、今回のように労働組合を結成せずに行われたストライキは花畑牧場の主張するように「違法」なのでしょうか。

実は過去にも同様のケースが裁判で争われており、三和サービス事件といいますが、三重の縫製工場で働いていた中国人技能実習生が残業代不払いや作業ノルマの変更に対して労働組合を結成せずに仕事を「ボイコット」したことに会社が損害賠償を請求したケースで、津地方裁判所四日市支部は労働条件の不利益変更に対するストライキであり憲法上の争議権の保障を受け合法だとして、技能実習生らに損害賠償を負う責任がないと判断され、控訴審判決でも免責されている労働者の権利といえます。

今回の花畑牧場のケースでは会社は休業をストライキだと事前に認識していたとされており、そうなればそもそも最初から会社は労働者の行動を正当な行為だと捉えていた可能性があることになり、
その場合には、逆に、会社側に賠償責任が発生するかもしれないという声もあります。

札幌地域労組という労働組合がベトナム人技能実習生を支援しており、団体交渉で損害賠償請求など会社の対応の撤回と謝罪を求めているそうです。
なかなか一人で会社に声を上げることはハードルが高く、そもそも個人的な「ストライキ」が効果を持つのは難しいのが現実で、労働組合という形で集団的に会社に改善を要求することができ、特に技能実習制度のような、歪んだ制度で労働を強いられている技能実習生の救いの手になると考えます。

YouTubeチャンネルでご説明しております。
ぜひご視聴ください。

 
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