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外国人の日本再入国は権利?

こんにちは、IMSの林です。
夏本番のようなまぶしい日差しが見られる日もある一方で、秋のような涼しさを感じる風も吹くやや不安定な天気が続きます。
みなさまもお体に気を付けてお過ごしください。

さて、今回は、再入国許可の話をしていきます。
現在の入管法上の運用に従えば、日本に滞在する外国人は母国に一時帰国する際には、出国前にあらかじめ再入国許可を取得しておく必要があります。
この再入国許可は入管に申請書を提出して取得することができます。
しかし、多くの方は、空港で配布されるEDカードを記入することで、みなし許可というものを入手したうえで出国します。

ここで再入国「許可」とされているのですが、「許可」は、原則禁止、例外許容ということを意味します。
例えば食品を取り扱う営業をしようとする者は、予め営業許可を取得していないとその営業ができないということを考えていただければわかりやすいかと思います。
このとき原則として食品を取り扱うことは「禁止」されていますが、許可を得た者は営業が「許容」される状況にあります。

再入国許可も上記の例と同じです。

過去に外国人の再入国の権利について取り扱った最高裁判例があるので今回はこれについて紹介していきたいと思います。
まずは事案の概要です。
昭和48年に来日して以来、在留許可更新を繰り返してきたアメリカ国籍の原告は、韓国への旅行のために日本からの一時出国を希望して再入国許可申請を行ったが、当時の外国人登録法14条1項に基づく指紋押捺を拒否したところ、法務大臣は再入国許可申請に対して不許可処分を行った。

この事案をみていただいてわかるかと思いますが、原則再入国不可、例外再入国可能という状態にあるものを、申請を通して、例外を勝ち取るといことになります。
しかし、原告らは外国人には「再入国の権利」があるという主張をしています。
これはどういうことを意味するか。

すなわち、憲法上の権利に対する制限は「原則禁止」、「例外許容」です。
再入国の権利があるということは、国は外国人の再入国を許さなければいけないという義務を負うことになるのです。
仮に外国人には、再入国の権利があるとする、この権利を原則として禁止する制度―再入国許可を設けた制度―が憲法違反であり、これに基づく処分も憲法違反ということで無効になります。
そうすると、原告は問題なく再入国できることになります。

しかし、最高裁は原告らの主張を受け入れず、「在留する外国人は、憲法上、外国への一時旅行する自由を保障されているものではない。」と極めて簡潔な判示をしています。

ここでいう「外国への一時旅行する自由」というのは、日本へ再入国することを前提とする出国をする自由を意味します。
そのため、本判決は再入国の権利を否定したものだと評されています。

この判決に対しては、「在留外国人の場合には、日本社会との関りも深く、新規入国と全く同列に論ずることはできないのも事実である。在留外国人一般に権利として再入国の自由を認めるのは難しいとしても、外国人の類型に応じて法務大臣の裁量権を限定することは考えうる」という評価がなされています。(岩沢雄司・昭和61年度重判解259頁)

上記の意見を少しくみ取ったとも考えられる判決がありますので、次回の投稿で取り上げます。

現在では、みなし再入国許可が存在するなど、当時の法制度、社会状況からは大きく変化がみられます。
しかし、過去に問題となった事例の検討を通して、日本社会で国際化による急激な変化を緩和し、共生社会を実現する手がかりをみつけることができるかもしれません。
まさに、温故知新ですね。

本日もここまでお付き合いいただきありがとうございました。

 

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