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遺留分の侵害

こんにちは。行政書士法人IMSです。

先週末はまた日毎の寒暖差が大きく、日替わりで別の季節を過ごしているようで、体調管理が難しいですね。年の瀬で何かと忙しい時期でもありますので、皆様くれぐれもご自愛くださいませ。

さて、本日は少し目先を変えて「相続」に関するお話をしてみようと思います。

「相続の揉め事」と聞くと、遺言書の内容に納得がいかず、相続人たちがそれぞれの取り分をめぐり争う、と言うようなシーンを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、現代における相続で、潜在的に多いケースとして「親の離婚、再婚により、子が本来の相続の権利を侵害されているケース」いわゆる「遺留分の侵害」が見受けられるようになりました。

そこで今日は、『実際にあったケース』をもとにご紹介したいと思います。

A子さんの両親は、A子さんが小学生の頃に離婚をし、A子さんは母親と暮らすようになりました。

その後、父親は再婚をし、子供も生まれ、A子さんとは疎遠になっていましたが、何十年か後、A子さんは父親が亡くなった事を知ります。

父親は「全財産を妻(再婚相手)に相続させる」と言う遺言書を残しており、妻(再婚相手)はその遺言の通りに全財産を相続したのですが、この事が後に大騒動へと発展して行きます。

親が離婚をしても、子の相続の権利が消滅する事はありません。従ってA子さんには亡くなった父親の遺産を相続する権利があります

妻(再婚相手)はA子さんの存在を認識していましたが、遺言書に「全財産を妻に」と書かれていたために、A子さんには亡き夫の遺産を渡す必要は無いと判断してしまったのです。

この時A子さんの母親は既に他界しており、A子さんご自身も「離婚した父親の遺産を受け取る権利がある」事を意識していなかったそうですが、周囲からの指摘で「受け取れるはずの遺産を受け取っていない」事に気付きます。

父親の自宅連絡先を知っていたA子さんは、電話で再婚相手との直接交渉を試みますが上手くいかず、弁護士に相談に行き、「遺留分」と呼ばれる、法定相続人に最低限保障された相続財産の取り分を請求するため「遺留分侵害額請求」を行うことになりました。

遺留分侵害額請求は、一般的には以下の流れで進められます。

①任意交渉:相手方と直接交渉する

②調停:家庭裁判所で調停委員の仲介の下、合意を模索する

③訴訟:家庭裁判所で請求権の存在や請求額を争い、裁判所による判決を受ける

A子さんのケースでは、相手方(再婚相手)に全く知識が無く、A子さんの権利を理解してもらえず、①の任意交渉、②の調停の段階では真摯に対応してもらえなかったため、③の訴訟にまで発展してしまいました。

この問題を解決するために、双方が多くの時間とお金を費やす事になり、その上精神的にも大きなダメージを受けることになってしまったのです。

現代では「離婚」は珍しいことではなく、今回のA子さんのようなケースは潜在的に多く存在すると思います。離婚・再婚後の家族の関わり方によっても変わりますし、心情的にも人それぞれ違いがあるため、必ずしも揉め事に発展するとは限りませんが、子どもに負の遺産を残さないためにも、正しい知識を身につけ適切に対処する事が求められる時代なのかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

(rs)

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