IMSブログ | 日本・アメリカビザ申請代行【行政書士法人IMS】

IMSブログ

Staff Blog

スタートアップビザとは?

スタートアップビザとは、一般的には外国人による起業活動を促進するための特別な在留資格のことですが、経済産業省が推進している外国人起業活動促進事業や制度が狭義の「スタートアップビザ」と呼ばれることもあるようです。今回は、スタートアップ関連の在留資格についてまとめてみました。

 

在留資格「経営・管理」はスタートアップにはハードルが高い

外国人が日本で事業を運営するためには、通常、「経営・管理」の在留資格が必要です。しかしながら、外国人が日本で新規事業を立ち上げようとするとき、「経営・管理」の在留資格で求められる事業の規模(500万円以上の出資、または2人以上の常勤職員)や事業所の確保はハードルと言えます。

革新的なビジネスモデルで急成長を図る組織は「スタートアップ(企業)」と呼ばれ、経済・産業の拡大に貢献することが期待されますが、そういったビジネスや起業家を海外からも呼び込むために、創業時に限りビザ取得の要件を緩和する施策が各国で行われています。

 

最長2年のスタートアップ優遇期間がある

日本では、時系列で見てみると、内閣府の事業と経済産業省の事業が別々にスタートしており、分かりにくい感は否めませんが、合わせ技も含めて最長2年間の特例が認められ、外国人起業家の受け入れ拡大の方向に動いて来てはいます。

2013年 国家戦略特別区域法 成立

2015年 国家戦略特別区域 外国人創業活動促進事業が内閣府令によりスタート

・特区に指定された自治体が事業計画を認めれば、特例として在留資格「経営・管理」の取得に必要な以下の要件確認を6ヵ月猶予
要件①:事業所の規模(2人以上の常勤職員 又は 500万円以上の出資金等)
要件②:事業所の確保(コワーキングスペースやシェアオフィスは認めない)
※6ヵ月後の初回更新の時に、①②の要件を満たせば良い

2018年 経済産業省が外国人起業活動促進事業(日本版スタートアップビザ)告示

・上記の要件①②を満たすことを最長1年猶予
※経済産業大臣の認定を受けた地方公共団体による確認手続・起業支援を受ける外国人起業家については、在留資格「特定活動」(外国人起業家・告示44号)6ヵ月が付与され、1回の更新が可能。

2020年 国家戦略特別区域 外国人創業活動促進事業の規制緩和

・事業所については、6ヵ月後の初回更新の後も最長1年間は自治体等が認定したコワーキングスペース等の使用が可能となる
・在留資格「留学」で滞在している方は、帰国せずに特例を利用した「経営・管理」への変更が可能となる

2022年 国家戦略特別区域 外国人創業活動促進事業の更なる規制緩和

・在留資格「特定活動」(外国人起業家・告示44号)からの変更も可能となる
※この場合、特例の「経営・管理」の初回更新後、事業所要件の特例延長期間は6ヵ月までとなるが、「特定活動」と併せて最長2年、スタートアップの特例が適用されることになる

2023年 10月2日より、スタートアップビザの確認手続きが民間事業者でも可能となる

・確認証明書の発行が、地方公共団体だけでなく、経済産業大臣が認定したベンチャーキャピタルやアクセラレーター等、民間事業者でも行うことができる制度の運用開始

 

日本の大学を卒業した留学生による起業にも期待

日本の大学を卒業した留学生による起業をサポートするための措置としては、2020年に「留学」から特例を活用した「経営・管理」への変更が可能になっていますが、その際に、「優秀な留学生の受入れに意欲的に取り組んでいる大学等」を卒業して起業活動を行うことを希望する方については、一定の要件を満たせば、最長2年間在留資格「特定活動」(告示外)が認められるようになりました。

「優秀な留学生の受入れに意欲的に取り組んでいる大学等」とは、文部科学省の実施する「留学生就職促進プログラム」の採択校若しくは参画校又は「スーパーグローバル大学創成支援事業」の採択校です。

また、日本の大学を卒業して直ぐに内閣府の制度や経済産業省のスタートアップビザを利用していた方が、その利用後にこちらの「特定活動」(告示外)に変更することも可能となっており、それまでの期間と併せて最長2年間の在留期間が認められます。

 

未来創造人材制度(J-Find)でも起業準備のための日本滞在が可能

2023年4月に導入された未来創造人材制度(J-Find)も、スタートアップビザの一面があります。こちらは、優秀な海外大学等を卒業等した方が、日本で「就職活動」又は「起業準備活動」を行う場合、在留資格「特定活動」(未来創造人材・51号告示)が付与され最長2年間の在留が可能となる制度です。なお、「優秀な海外の大学等」のリストに含まれている日本の大学は、現在は東京大学と京都大学のみですが、リスト(※)にある優秀な海外の大学や大学院等を卒業してから5年以内という要件を満たせば、その他の要件はかなりハードルが低くなっています。

※ 未来創造人材制度の対象となる大学一覧(令和5年4月時点)

 

魅力度ランキングの挽回なるか?

世界の起業志望者から見て、経済協力開発機構(OECD)による魅力度評価で日本は24ヶ国中21位だそうです。(日経電子版、2023年7月16日付より)

少子高齢化による人口減少や産業の衰退が懸念される中、技術革新や経済活動に活力を与えてくれる優れた外国人起業家にとって魅力的な国になることは、日本にとって喫緊の課題になっています。スタートアップビザの更なる制度改革や活用促進に注目していきたいと思います。

(S.I)

参考:
スタートアップ関連施策 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
国家戦略特区 規制改革メニュー一覧 (chisou.go.jp)
外国人起業活動促進事業に関する告示 (METI/経済産業省)

最新の記事

カテゴリー

アーカイブス

お問い合わせ

Contact Us

ご質問やご相談、お見積りなどお気軽にお問い合わせください。
スタッフ一同お客様一人一人のご事情に沿った丁寧な対応を心掛けております。
万全なサポート体制でお客様からのお問い合わせお待ちしております。

03-5402-6191

9:00~18:00 土日祝定休