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在留資格「特定活動」(未来創造人材/J-find)とは?

在留資格「特定活動」(未来創造人材/J-find)が導入されてから間もなく1年となります。弊社では、昨年の夏頃から従来の“就活ビザ”の代わりに「J-find」を検討されるお客様からのお問い合わせを頂くようになりました。今回はこの「J-find」と呼ばれる在留資格について、従来の“就活ビザ”との比較も交えて、理解を深めておきたいと思います。

高度人材獲得競争の時代

高度な知識や技能を有している人材の獲得競争は、今や国境を越えて行われるようになりました。そこで、国際競争力を高めるための施策として、2023年4月から特別高度人材制度(J-Skip)と未来創造人材制度(J-Find)がセットで導入されました。特別高度人材制度(J-Skip)は、就労資格である「高度専門職」にかかわるものですが、こちらについては今回割愛します。もう一つの未来創造人材制度(J-Find)は、研究開発を通じたイノベーションの創発や海外とのビジネスなど様々な分野での今後の活躍が、特に期待される人材に対して、日本での就労機会を得やすくするための制度です。そして、この制度により、新たに「特定活動」(告示51号)として、「未来創造人材」あるいは「J-find」と呼ばれる在留資格が作られました。

「J-find」でできる活動

「J-find」の対象であることが認められると、最長2年間(半年または1年で更新の)在留資格「特定活動」(未来創造人材/J-find)が与えられ、以下の3つの活動を行うことができます。

    • 就職活動
    • 起業活動
    • 及び上記の活動を行うために必要な資金を補うための就労

 

通常のいわゆる“就活ビザ”(継続就職活動のための「特定活動」)と比べると、在留期間の長さが2倍であり、別途、資格外活動許可を受けなくても働くことができるというのは、大きなメリットです。但し、就労をメインの活動にすることはできず、就職活動や起業活動を行っていることが前提であることは言うまでもありません。

「J-find」の対象となるには

「J-find」の対象となるには、以下の3つの要件を満たしている必要があります。

1.以下の3つの世界大学ランキング中、2つ以上で100位以内にランクインしている大学を卒業、又はその大学の大学院の課程を修了して学位又は専門職学位を授与されている

(1)クアクアレリ・シモンズ社公表のQS・ワールド・ユニバーシテイ・ランキングス
(2)タイムズ社公表のTHE ワールド・ユニバーシテイ・ランキングス
(3)シャンハイ・ランキング・コンサルタンシー公表のアカデミック・ランキング・オブ・ワールド・ユニバーシテイズ

 → 未来創造人材制度の対象となる大学一覧(PDF)(令和5年9月時点)

2.上記の大学等を卒業または修了し、学位を授与されてから5年以内である

3.滞在当初の生計維持費として20万円以上持っている

世界の優秀な大学等を卒業した方のみが対象となっていることが、この在留資格の大きな特徴であり、上記の(令和5年9月時点の)大学一覧には92校がリストアップされていますが、日本の大学でこのリストに含まれているのは東京大学と京都大学だけでした。最終学歴のみが対象ではありませんが、この要件により対象者はかなり限定されます。また、学位取得が要件となっているため、対象の大学であっても博士課程満期退学では要件を満たすことができません。(但し修士の学位取得後から5年以内であれば、修士の学位で申請可)

一方で、生計維持費として20万円の預金残高があることを証明できれば良いという点では、ハードルは低くなっていると言っていいでしょう。また、通常の“就活ビザ”とは違い、卒業後、一旦就職した方や日本を離れた場合でも、要件さえ満たせば、この在留資格で再度、就職活動のために日本に滞在することが可能となります。

更に、“就活ビザ”との違いとしては、申請の時に大学からの推薦状が必要ないこと、また、在学中から就職活動を行っていたことを示す書類も必要ありません。但し、経歴書と滞在予定表を所定の書式で提出する必要があります。

今後、「J-find」の申請者は増えるのか?

また、“就活ビザ”は、在留資格「留学」をもって滞在している方が、在留資格変更申請を行うことにより取得する在留資格ですが、「J-find」では、他の在留資格からの変更以外に、在留資格認定証明書交付申請からの手続きも可能です。つまり、新規に来日する方も想定しているということですが、所属機関なしで本人が申請を行うためには本人が日本に滞在している必要があり、「J-find」取得前に、一旦「短期滞在」などで来日して申請手続きを行う必要があります。まだ、このような例を取り扱ったことはありませんが、今後は新規に「J-find」で来日する方も増えて来るのでしょうか。

なお、現在は国内の大学で学ぶ留学生にとっては敷居の高い「J-find」ですが、政府は外国人留学生の国内就職率を引き上げることを目標としており、「日本で働く外国人材を増やすため、24年度に世界のトップ大学の卒業者に限る制度の対象を国内大卒者にも一部認める検討をする」(日経新聞2023年9月5日)というニュースもありました。今後の動向にも注目していきたいと思います。

(S.I)

<参考>
J-findの概要(入管HPより)001394998.pdf (moj.go.jp)
優秀な海外大学等を卒業した者が起業活動・就職活動を行う場合(J-Find) | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
在留資格認定証明書交付申請 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA04AJU0U3A900C2000000/

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