ここ数年でよく耳にするようになったアメリカでの入国拒否に関連するニュースですが、弊社でも相談件数が増加傾向にあります。「入国拒否」と聞くと、入国に必要な手続きや書類の不備が原因なのでは?と思う方も多いかもしれませんが、昨今は年齢や性別に関係なく、誰でも入国拒否となる可能性があり、決して他人事ではなくなってきています。入国拒否になった実例と実際の聴き取り調査、そして入国拒否になってしまった後についてご紹介いたします。
【どのような人が声をかけられている?】
入国審査でのやり取りにて、疑義が生じた場合に別室での聴取となるケースはもちろんありますが、入国審査の列に並ぶ前や並んでいる時に声をかけられる方もいます。
一年程前と今では、声をかけられやすいその特徴に少しずつ変化があるようです。
一年程前までは、
- 一人旅
- 20〜40代の女性
- 見た目が華やかでブランド品を身につけている
この3つに当てはまる方が非常に多かった印象ですが、最近は必ずしもそうではありません。
特に3についてはあまり重視されていないようで、最近入国拒否に遭われた方も当日の服装については、「長時間のフライトなので締め付けの少ない、比較的カジュアルな服装でメイクもあまりしていなかった」という方が増えています。
また、次のようなケースでも声をかけられています。
・極端に荷物が少なかった方、多かった方
・楽器やスポーツ用品、何らかの機材など荷物の特徴がわかりやすかった方
特に荷物の特徴がわかりやすかったケースでは、その所持品から本来取得すべきビザを取得せずに入国しようとしている、と思われやすいため要注意です。このような荷物を持っている方が「ほんの1週間だけ、アメリカで報酬を得るわけではないから」とESTA渡米し、例えば撮影をしようとしていたり、演奏会や個展を開こうとしている、なんらかのスポーツ競技を学びに、あるいは教えに行く、という場合はその活動内容がESTAでの活動の範疇を超えていると判断され、高い確率で入国拒否になっています。
【実際の聴き取り調査】
どのようなことを聞かれるのか?気になるポイントですが、大きく分けて三つの段階となります。
まず初めに、英語を理解できるか確認され、通訳を要する場合はこの場でリクエストできます。その後、氏名、パスポート番号、生年月日、住所、婚姻状況、職業、両親の名前及び生年月日、同居しているか、など基本的な個人情報について問われます。
個人情報に関する質問のあと、渡米目的や滞在予定期間を問われたのち、個人に応じた質問をされます。非常に突っ込んだ質問が多く、答えに応じてどんどん掘り下げられていきます。またこの間、スマートフォンなどは没収される上にパスワードを聞かれ、中身を確認されます。また答えに対する裏付け、確認もなされていきます。
例として、ESTA渡米をしアメリカで数週間以上、友人宅に滞在予定で観光をしようとした場合に最初にそう答えると、滞在予定先の確認と連絡先を聞かれ、場合によってはその場で電話による確認もなされます。また、滞在予定先として答えた友人とのやりとりについても隈なく確認され、その中で仮に冗談や漠然とした夢で「いつかアメリカに住めたらいいな」や「アメリカで仕事を探してみたい」などのやり取りを見つけた場合は、直ちにそのやりとりについてどういうことか尋ねられます。このように少しでも就労や長期滞在を示唆する内容を見つけた場合はとことん追及されていくため、精神的にも疲弊してしまうようです。
- Inadmissible と決定され、その後についてを説明
上記やり取りから疑念を払拭出来ず、inadmissible と判断された場合には移民国籍法の各法律に基づきあなたの入国は認められなかった、と宣言されます。そして、この後すぐに搭乗可能な航空機にて帰国すること、今後はビザを取得する必要があること、などを言い渡され、最後にサインの上、終了となります。こちらは適用された法律の種類が異なる以外は概ね同じような案内をされることが多いようです。
【入国拒否となってしまったら?】
入国拒否に遭った後、将来的な渡米を実現させるために気をつけることがあります。
- 入国拒否となり帰国する場合はこの時のやりとりを記された書類を受け取った上で必ず保管する。
精神的なショックや怒りから、この書類を捨ててしまったりするケースがありますが気持ちを抑え、保管するようにしてください。入国拒否となった場合の将来的な渡米時にはESTAは利用できなくなり、目的に応じたビザ申請が必要となります。ビザ申請では入国拒否となった原因を洗い出し、分析する必要があるため、この書類は重要な証拠となります。
Fビザなどプログラムの時期が決まっているなど、すぐに渡米する必要がある場合は別ですが、ESTA渡米で入国拒否に遭った場合は、事後すぐに短期商用観光Bビザの申請をすることはなるべく避けた方が良い傾向にあります。すぐにビザ申請をするということは、アメリカにどうしても行きたい、という意思表示にもなり得てしまい、入国拒否となった理由と結びつけられた上、就労、移住、長期滞在をするであろうとみなされ申請却下となりやすいためです。ビザ申請では、入国拒否となった理由を覆すことができなければ許可を得るのは難しく、それにはある程度の時間が必要と言えます。一方で学業上または業務上、どうしてもできるだけ早くビザ申請が必要な場合はこの限りではないですが、ビザ申請をする際にはやはり入国拒否理由を覆せる証拠が必要となるため、慎重に準備をすべきです。
入国拒否後、とりあえずESTA申請をしてみよう、またはちょうどパスポートを更新したからESTA申請を試してみよう、と考える方がいらっしゃいますが控えた方が良いでしょう。ESTA申請をしても結局承認がおりず、ESTA却下歴ができてしまい、将来のビザ申請でマイナス要素となるためです。入国拒否にあった場合の次回渡米前にはビザ申請をするようにしてください。
入国拒否に遭ったからと言って一生、アメリカに行けないと決まったわけではありません。弊社では入国拒否に遭われた方のビザ取得で多数の実績がございます。また、アメリカに行く際にESTAで行くけれど、自分の活動予定内容は問題ないかご不安な方、ビザが必要かわからない方、お気軽にご相談ください。
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(MM)