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裁量ってなに?

こんにちは、IMSの林です。
最近は寒さも落ち着き、少しずつ春の香り(あの忌まわしい花粉も、、)を感じる日も増えてきましたね。

今回は、少し難しい行政裁量という話をしていきます。

外国人の皆様が在留資格の更新申請や変更申請を行う際に、行政書士に依頼をした場合、「許可がおりるかどうかは裁量なので~」といった説明をしばしば受けると思いますが、よくよく立ち止まって考えると「裁量ってなんだ?」と疑問を感じたことはありませんか?
また、日本国籍の方でも、何か新規事業を始めたいと思った際に、「許可が必要なので申請をしてください。」といったような指示を自治体から受けることがあるかと思います。
この時に、「許可をくれるかどうかって何で決まるんだろう?」と疑問を感じたことがあるかもしれません。
「裁量」特に「行政裁量」について少し理解しておくと、上で説明した二つの疑問を一気に解消できます。

まず、「裁量」とは、一般的に「その人の考えや判断によって処理する」という意味です。
これを特に「行政裁量」という場合には、「立法者が法律の枠内で行政機関に認めた判断の余地のこと」を意味します。(宇賀克也『行政法〈第2版〉』163頁(有斐閣、2019年))

では、これを入管法上の事例に照らし考えてみましょう。
例えば、永住許可申請をする際には、「素行が善良であること」、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」及び「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」が審査基準として運用されており、これらの事項は出入国管理及び難民認定法第22条に規定されています。

そして、実際に申請人が、上記の3つの条件に該当するか否かについては、行政庁が判断をすることになりますが、この際に法務大臣には「行政裁量」が認められています。
平たく言えば、法務大臣が「この人は永住許可を与えるに値する、とか、値しない」といった判断を行うということです。

ただ、行政裁量も限度無しに認められているわけではなく、「裁量権の踰越濫用があれば、当該行為は違法となることが、行政事件訴訟法30条に明示されています。」(宇賀・同164頁)

上記で裁量権の「踰越」という言葉を使いましたが、もう少し優しい言葉で、広く使われている「逸脱」という言葉を代わりに以下では用いることとします。

裁量権の逸脱濫用が認められる場合としては、主に法律の目的違反、不正な動機、平等原則違反、比例原則違反等があげられますが、先ほど例に挙げた永住許可申請であれば、法務大臣が「〇〇人からの申請であるから不許可処分を行おう」という不正な動機が認められた場合には裁量権の逸脱濫用が認められるとして、訴訟になった際には違法と認定される可能性が極めて高いです。

ただ、実際に裁量権の逸脱濫用を争うこととなるのは、行政事件訴訟においてであって、例えば永住許可に対する不許可処分に不服で、もう一度判断してほしい時に「永住許可申請に対する不許可処分」の「取消訴訟」を提起するようなケースになります。

一般的に行政書士が代行して行う永住許可申請においては、必要書類を揃え、如何に申請人が「素行が善良であるか」ということを様々な資料の提出を通して立証していくことが一番重要になります。

最後になりますが、一口に「行政裁量」と言っても、さらに細かく分けることができます。
ここでいう分類は、「要件裁量」と「効果裁量」の二つがあります。

「要件裁量」とは、「要件該当性の判断」に関わるものであって、「効果裁量」とは、「処分をするかどうか、仮にするとしてどのような処分を行うか」ということを指しています。

この二つの違いは、国家公務員の懲戒処分の事例を使って以下で説明していきます。
仮に休日に飲酒運転をした国家公務員Aさんがいた場合、懲戒権者は、国家公務員法82条に従って、免職、停職、減給、戒告のいずれかの処分をすることが考えられます。
要件裁量が認められるということは、Aさんの行為が国家公務員法82条1項の各号に定める事由(例えば「非行」)に該当するかどうかを懲戒権者がある程度自由に判断していいということを指し、効果裁量が認められるということは、懲戒権者がそもそもAさんに何かしらの処分をするかどうかを決めていい、また仮に処分をするとして前述の4つのうちどの処分をするかを決めていいということを指します。

ここまで長々と説明してきましたが、ざっくりまとめますと、ビザ申請や在留資格変更申請・更新申請をする際に、「裁量」が働くと説明されたら、これは法務大臣にある程度許可を出すかどうかを決めていいという自由が法律によって認められているということを意味します。

弊社では、ビザ申請のみならず、法的知見をいかして契約書のリーガルチェックサービスも展開しています。
法律知識を要する作業は、用語等が難解で滞りなく個人で進めるのは困難なことも多々ありますので、必要に応じてぜひ弊社にご依頼ください。

 

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